去年の夏の話。その日の午前中は冷房の効いた部屋でぐったりとゲームに浸っていたが、夏にはやはり夏らしい写真を撮りたくなるもの。時計の針は正午を回っていたが、思い立ったが吉日とばかりにひまわり畑へバイクを走らせた。
場所は宮城県山元町。ここで毎年「やまもとひまわり祭り」が行われている。毎年とは言っても今回で5回目の開催らしいので、歴史はまだまだ浅いようだ。
向かっている途中で道に迷い、容赦なく照りつける太陽にジリジリと灼かれながら何もない田舎道で「あれー?」と独り言を呟きながら5分ほどGoogle Mapと格闘したのは今となっては良い思い出である。
その後も奔走し、無事にひまわり祭りの会場に到着した頃には時間は15時になろうとしていた。辺りを軽く見回して分かったが、ちょっと来る時期が早すぎたのだろうか、全体的にひまわりは五分咲きという感じだった。下調べもほとんどせずに天気が良いからという理由で能天気にバイクを走らせるとこうなるのだ。こんなダメな大人にならないように学生の諸君は夏休みの宿題には計画的に取り組んでほしい。
だが数万本も向日葵があれば、数本くらいは俺と同じような「馬鹿」がいるはずだ。こんな時期なのに満開に咲かせているやつ。そいつを探して写真に収めるのが今日のミッションだ。
ズカズカとひまわり畑に整備された歩道を進む。歴史が浅いお祭りとはいえ、歩道や高見台などは整備されていた。
15時を回っても夏なので日は高く登り、汗水垂らしながらの撮影だった。幸いにも来場客が少ないため、人が写ってしまうことによる撮影のリテイクが少ないのは助かった。
そうこうしている間に「君を待っていたんだ」と言わんばかりにベストな咲き具合となった向日葵が目に入る。夏休みの宿題には一度として真面目に取り組んだことがない俺のような馬鹿にも救いの手は差し伸べられるのか。優しい世界だ。
雨が降ったわけでもないのに水滴が着いているのは誰かが水やりをしているからだろうか。ひまわりの茎ってこんなにフサフサに毛が生えてるんだなぁと撮りながら観察する。
16時を過ぎて日が傾いてきたので撮影を終了し、撮れ高に満足しつつ帰路についた。撮影中は全く水分補給をしていないことに気付いたのでコンビニに立ち寄り、キンキンに冷えたコーヒーを飲み干す。火照った身体に染み渡る。
また来年、ちゃんとひまわりが満開の時期を調べてから訪れたいな。